慶應義塾大学医学部 内視鏡手術トレーニングセンター

ごあいさつ

北川 雄光

慶應義塾大学医学部 外科学(一般・消化器)教授
慶應義塾常任理事 
事業推進プロジェクトリーダー
北川 雄光

福澤諭吉の「一身独立(自ら考え実践する)」の教えを理解し、「智徳」とともに「気品」を重視し、社会の先導者にふさわしく世界に雄飛するとともに、患者中心の医療を実現できるPhysician Scientist(科学的思考力を備えた医師)となりうる医療人を育成するのが、我々慶應義塾大学および医学部の教育理念・使命と考えております。内視鏡外科領域においても、実際に福澤諭吉は、今から100年以上前にすでに、具体的に内視鏡を使った手術がいずれ可能になることを予見し、医学は外科から発展・進歩すると記しております。我々はこの教育理念の元、内視鏡手術を日本に導入した責任を重んじ、これまでの経験と人脈を総動員して、これからの内視鏡手術の発展に寄与し得るグローバルな視野を育てる確固たる教育プログラムを構築・実践し、自らを常に律しながら真に安全かつ高度な医療を患者様に届けることができる人材を育成したいと考えております。

本プログラムでは、領域横断的な基礎知識と技能を身につけ、プランニングから一貫して安全・確実な手術が可能であり、かつ国際的に活躍できるグローバルな視野を持ったリーダーを育成いたします。そのため我々は二つのコースを設置し、段階的に高難度手術へ移行するプログラムを構成いたしました。まず、1) Basicトレーニングコースでは、総合大学の特徴を活かし、理工学部との共同で内視鏡手術機器の特徴と問題点に対する理解を深めた上で、すでに稼働している大動物・Cadaverトレーニングを用いた実践的教育プログラムを提供いたします。更に豊富な症例数を誇る関連施設での実地修練を組み合わせております。2) Advanceトレーニングコースでは、豊富な経験と症例を持つ他大学(岩手医科大学、東京医科大学)での修練や、世界的リーディング施設での研修(韓国・フランス)および世界随一の教育プログラム(IRCAD)への参加を盛り込むことで、グローバル・スタンダードを学んだ上で高難度手術を安全かつ高いレベルで施行可能な人材を育成いたします。

photo yagi.jpg

慶應義塾大学医学部 外科学(一般・消化器)専任講師
慶應義塾大学医学部 内視鏡手術トレーニングセンター ディレクター
八木 洋

「広く、そして深く:理想的な内視鏡手術教育システムを目指して」

近年の内視鏡手術の発展は目覚ましいものがあり、適応疾患や術式は年々拡大しています。それに伴い病気の発生した臓器と周辺臓器の境界部分にまで手術が及ぶこと、また周辺臓器を同時に手術することが増えてきています。これらの手術を安全に施行するには、専門臓器に対する高度な技量とともに、臓器を超えた内視鏡手術全般における広い造詣が必要となります。しかし、今まで内視鏡外科手術の教育システムは臓器別に開腹手術の延長として行われ、内視鏡手術の歴史、機器の仕組みや特性、手術手技や手術計画の立案などを体系的に習得するカリキュラムも、複数臓器に渡る手術に対する総合的なマネージングをする人材を養成するシステムも存在しませんでした。

本プログラムは、内視鏡手術全般の知識と手術手技を領域横断的に学習し(広く)、さらに世界トップレベルの海外施設研修、ロボット手術講習、医療経済学を含めたマネージメント講習などを通して専門領域の能力をさらに伸ばす(深く)魅力的なカリキュラムとなっています。本プログラムにより育成した内視鏡手術のエキスパートは、昨今問題になっている内視鏡手術における医療事故の問題を解決する一助となるとともに、この分野の日本のリーダーとなって世界に発信してくれることを確信しています。

TOPへ