カリキュラム
本プログラムの特色
- 複数診療科と多彩な教育部門によるトレーニングセンター
- 安全性と普遍性を踏まえた、総合的基本技術トレーニングプログラム
- センターによって制御された一貫したプログラムと評価機構
- 日本・世界屈指の内視鏡手術スペシャリストによる教育プログラム
- 新規デバイス開発を視野に入れた教育システム
- 経験豊富な国内関連施設・充実した海外教育プログラムとの連携
本学は本邦に内視鏡手術が導入された当初より積極的に取り組み、現在に至るまで世界の内視鏡外科手術を牽引してきております。私たちはこれまで特に安全性を心がけた高度な手術を実践してきており、本プログラムは我々の長い内視鏡手術における実績を活かし、その豊富な経験に裏打ちされた指導者達が教育に当たります。
内視鏡トレーニングセンターにおいて内視鏡手術の基本的な知識と技術を習得した後には、豊富な症例数と熟練の指導医達が在籍する関連施設、世界的にも有名な海外プログラムとの連携の中で内視鏡手術の経験を積み、世界的に通ずる内視鏡外科医を目指します。
カリキュラム
受講者の技能に合わせて適切なカリキュラムを受講するため、ベーシックコースとアドバンスコースと分けそれぞれ原則2年間の履修期間を設けます。
Basicトレーニングコース
- 内視鏡手術の基本技術を網羅的に理解し、実践できる。
- 内視鏡手術中のトラブルに適切に対処できる。
- 内視鏡デバイスの特徴と現在の問題点を理解し実践に活かしながら、日本発の新規デバイス開発を含めた将来の新たな展開を模索可能な知識を身につける。
Basicトレーニングコースでは、領域横断的な基礎知識と技能を身につけ、安全・確実な手術が可能かつ将来の発展に目を向けることができる人材を養成します。総合大学の特徴を活かし、理工学部との共同で内視鏡手術機器の特徴と問題点に対する理解を深めた上で、すでに稼働している大動物・Cadaverトレーニングを用いた実践的教育プログラムを通じ内視鏡の基礎を習得します。同時に、本学と豊富な症例数を誇る関連施設で実地修錬を行い、基礎トレーニングにおいて習得した内容を実際の手術と連携させより段階的に内視鏡外科手術の知識と技術を習得します。
プログラム内容 | 担当部門 |
---|---|
1. 講義
内視鏡デバイスの基礎知識習得 |
一般・消化器外科 婦人科 泌尿器科 理工学部 |
2. 大動物手術トレーニング | 低侵襲療法研究開発部門 |
3. Cadaver手術トレーニング | 解剖学教室 |
4. 術前画像シミュレーション | 一般・消化器外科 |
5. 大学・関連施設における実地修錬 | 一般・消化器外科 婦人科 泌尿器科 各関連病院 |
受入目標人数および 履修者人数 |
対象者 | H26年度 | H27年度 | H28年度 | H29年度 | H30年度 |
---|---|---|---|---|---|---|
外科系専門医 | 10 | 10 | 10 | 10 | ||
11 | 10 | 12 | 11 | |||
計 | 0 | 11 | 10 | 12 | 11 |
Advanceトレーニングコース
- 肝胆膵・食道・婦人科/泌尿器科癌を含めた高難度内視鏡手術の適応とピットフォールを理解し、高度な手術を安全に実践できる。
- 高難度な内視鏡手術中のトラブルに適切に対処できる。
- グローバルな視野を持って、指導的立場で今後の本邦の内視鏡手術の発展に寄与することができる。
- 海外の内視鏡外科医と密な交流を持ち、シームレスな連携を臨床・教育・研究の多方面で実践することができる。
Advanceトレーニングコースでは、豊富な経験と症例を持つ他大学(岩手医科大学)での修練や、世界的リーディング施設での研修(韓国・フランス)および世界随一の教育プログラム(IRCAD-Strasburg, Taiwan)への参加といった海外と連携したカリキュラムを用意します。世界的な施設で研修することで、内視鏡外科手術のグローバル・スタンダードを学び高難度手術を安全かつ高いレベルで施行可能な技術を習得します。さらに、世界的なエキスパート達との交流を持つことでこれまで獲得した知識や技術を、自ら高められるような人材を育成します。
受入目標人数および 履修者人数 |
対象者 | H26年度 | H27年度 | H28年度 | H29年度 | H30年度 |
---|---|---|---|---|---|---|
Basicコース終了者 | 10 | 10 | ||||
上記と同等の技能を持つ者 | 8 | 8 | 4 | 4 | ||
8 | 8 | 14 | 14 | |||
計 | 0 | 8 | 8 | 14 | 14 |
1. 講義
自分の専門臓器領域だけでなく、腹腔鏡手術の一般基礎知識、全ての臓器領域(消化器外科、泌尿器科、婦人科)の系統的な基礎知識を身につけ、術中トラブルに対する適切な対処法を習得し、高難度手術を完全かつ正確に施行するために基本知識を身につけることを目標とします。
日程 | 時限 | 授業タイトル | 担当者 |
---|---|---|---|
4月8日(水) | 17:00~18:00 | オリエンテーション | 板野 |
4月24日(金) | 17:00~18:00 | 腹腔鏡手術基礎・体位・ポート | 板野 |
5月8日(金) | 17:00~19:00 | 腹腔鏡手術・機械・エネルギーデバイス | 板野 |
5月22日(金) | 17:00~19:00 | デバイスの基礎 | 大西 |
6月5日(金) | 17:00~19:00 | 腹腔鏡手術 一般知識 (大腸) トラブルシュート・ピットフォール |
鶴田 |
6月19日(金) | 17:00~19:00 | 胸腔鏡・腹腔鏡手術 一般知識 (上部) トラブルシュート・ピットフォール |
竹内 |
7月03日(金) | 17:00~19:00 | 腹腔鏡手術 一般知識 (肝胆膵) トラブルシュート・ピットフォール |
板野 |
7月17日(金) | 17:00~19:00 | 腹腔鏡手術 一般知識 (婦人科) トラブルシュート・ピットフォール・高難易度手術 |
野村 片岡 |
9月11日(金) | 17:00~19:00 | 腹腔鏡手術 一般知識 (泌尿器科) トラブルシュート・高難易度手術 |
松本 宮嶋 |
9月25日(金) | 17:00~18:00 | 腹腔鏡手術 一般知識 (ヘルニア) トラブルシュート・ピットフォール |
和田 |
2. 大動物手術トレーニング
実験動物(ブタ)を使用して、講義で習得した領域横断的な腹腔鏡手術の一般基礎知識、各臓器領域の系統的な基礎知識を手術トレーニングの形式で実践します。
日程 | 時限 | 授業タイトル | 担当者 |
---|---|---|---|
7月18日(土) | 9:00~15:00 | 大動物実習(1) | 八木 他 |
12月5日(土) | 9:00~15:00 | 大動物実習(2) | 八木 他 |
3. Cadaver手術トレーニング
基本解剖の教育手段として行われてきたCadaverによる実習ですが、近年は外科医が手術を前提とした解剖を学び、手術をシミュレーションする手段としての意義が高まっています。今回、本学解剖学教室の協力のもとで、Cadaverを使用して生体では確認の不可能な詳細な解剖学的知識や、手術の基本手技、高難度手術のトレーニングを行います。
日程 | 時限 | 授業タイトル | 担当者 |
---|---|---|---|
不定期 | Cadaver実習(1) | 片岡 他 | |
不定期 | Cadaver実習(2) | 片岡 他 |
4. 術前画像シミュレーション
3D CT Angiography (三次元血管造影検査)
造影CT検査により得られた画像を三次元に再構築します。気管支動脈・腹腔動脈・上腸管膜動脈・下腸管膜動脈などの主要な血管やその分枝と臓器及び腫瘍との位置関係、及び腫瘍の栄養血管を明らかにすることで、個々の症例に応じて手術のシミュレーションをします。
CT Colonography
主に大腸・直腸領域で行う画像検査です。腸管内に空気を注入した上でCT検査を行い、三次元に再構築することでこれまで行われてきた注腸検査よりもより精度の高い立体的な画像を得る事が出来ます。さらにこの画像を3DCT Angiographyと組み合わせることで、実際の手術における血管・腸管・腫瘍の位置関係を知ることが出来ます。
SYNAPSE VINCENT
主に胆道領域で行う画像検査です。3D画像解析システムであるSYNAPSE VINCENTを使用し、血管及び胆管と腫瘍の位置関係を明らかにして、術式の決定及び手術の際に注意すべき事項を明らかにします。
胸管造影MRI
食道領域では、CT検査では描出が難しい胸管を造影MRI検査を用いて描出し、これをCT画像と組み合わせることで胸管の本数や分枝、走行及び他臓器との位置関係を明らかにします。この検査を行う事で術中胸管損傷による術後の乳び胸発生を予防します。
日程 | 時限 | 授業タイトル | 担当者 |
---|---|---|---|
10月16日(金) | 17:00~ | 術前画像シミュレーション(1) | 阿部、仲村 |
10月23日(金) | 17:00~ | 術前画像シミュレーション(2) | 阿部、仲村 |
11月6日(金) | 17:00~ | 術前画像シミュレーション(3) | 阿部、仲村 |
11月20日(金) | 17:00~ | 術前画像シミュレーション(4) | 阿部、仲村 |
5. 大学・関連施設における実地修錬
受講生は外科 (一般・消化器)、泌尿器科、婦人科の各科で最低3-5例の腹腔鏡科手術に参加します。各科の腹腔鏡下手術における解剖や手術における要点を習得すると共に、各科に特徴的な術前・術後管理を学びます。
必修手術術式
【一般・消化器外科領域】5例
- 腹腔鏡下胆嚢摘出術(1例)
- 腹腔鏡下幽門側胃切除(1例)
- 腹腔鏡下大腸(直腸)切除術(1例)
- 腹腔鏡下肝切除もしくは腹腔鏡下膵体尾部切除(1例)
- 腹腔鏡下ヘルニア根治術(1例)
【泌尿器科領域】3例
- 腹腔鏡下腎臓摘出術(1例)
- 腹腔鏡下副腎提出術(1例)
- 腹腔鏡下前立腺全摘術(1例)
【婦人科領域】5例
- 腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術
- 腹腔鏡下子宮筋腫核出術
- 腹腔鏡下子宮全摘術
- 腹腔鏡下卵巣摘出術
- 腹腔鏡下子宮外妊娠手術